日本人はなぜ英語に苦手意識があるのでしょうか。
まず、日本語と英語では文章の構造が全く異なるものです。
これが、日本人が英語に対し苦手意識を感じる原因となっていると考えられます。
日本語は、伝えたいことに対してその周囲の情報から伝達する構造になっており、英語は、まず先に伝えたいことを述べる構造になっています。
「机の上にペンがあります」という文章を例にとって解説します。この場合、情報の中心となるのは「ペン」です。
日本語だと先に「机の」という言葉を文頭に置いているように、周囲の情報から伝達しています。
それに対し、英語の場合、「There is a pen on the table.」となり、先に「ペン」がきて、それから「机の上の」となっています。
日本人が英語に対し苦手意識をもっているのは、中学・高校の英語教育に問題があると考えられてきましたが、そもそも日本語と英語の文章構造の根本的な違いがあるということが一つの要因になっています。
特に英語に慣れていない初心者で、英会話ができるようになりたいという方は、日本語と英語の文章構造の違いを念頭に置いておかなければなりません。
初心者が陥りやすい誤った英会話の勉強方法
英会話の勉強が続かないのには理由があります。
誤った勉強法で英語を学習すると、英語に対する苦手意識はますます大きくなります。
ここでは、初心者が陥りやすい誤った英会話の勉強方法についてご説明します。
1.聞き流すだけの勉強方法
最近では、聞き流すだけで英会話が身につく、といった教材が話題になっていますが、聞き流すだけでは英会話はできるようにはなりません。
ある程度英語の力があり、単語や文法、リスリング、スピーキングなどの基本が身についていれば、この方法は英会話の上達に役に立つかもしれませんが、英語初心者の方ほどこの勉強方法は適していません。
2.短期留学
短期間で英会話ができるようになりたいと、海外への短期留学を計画している方もいらっしゃるかもしれませんが、初心者の数週間から1ヵ月程度の短期留学は意味がありません。
高い費用を支払って短期留学に行く前に、まずは独学でしっかり英語の基礎を勉強しましょう。
英語の基礎ができていないうちから留学をしても、先生や他の生徒とのコミュニケーションもできず、授業の内容もわからないという事態に陥ってしまします。
3.英会話スクール
英会話スクールも同様に、英語の基礎を身につけていないうちから通っても英会話がいきなりできるようにはなりません。
英会話スクールに通いたい場合は、個別指導がしっかりしているところや初心者向けのレッスンがあるスクールを選ぶようにしましょう。
初心者が短期間で英会話を上達させる方法
1.目標設定をし、計画を立てる
英会話ができるようになって、どうしたいのか具体的な目標を設定しましょう。
具体的な目標は海外旅行で英語で話せるようになりたい、仕事でビジネス英語でやりとりできるようになりたい、など
なんでもかまいません。
具体的な目標が設定できたら、今度はその目標につながる短期的な目標を立てます。
短期的な目標は半年程度で達成できそうなレベルにしましょう。
こうして短期的な目標を立てることで、いつまでに自分がどの程度英語力を身につけなければいけないのかが明確になります。
2.基本的な英語の知識を身につける
英会話の前に大切なのは、英語の単語や文法など基本的な知識です。
基礎をしっかり身につけることで、短期間での英会話上達につながります。
①単語
初心者にオススメの単語の勉強方法として、自分の目標に近いジャンルの単語から勉強していくという方法があります。
例えば、最終的に仕事で英会話を活用したい、という目標があればビジネスで使うような単語を中心に勉強していきましょう。
また、旅行で英会話ができるようになりたい、という目標であれば旅行でよく使うような単語を中心に勉強に取り組んでください。
単語は、中学生までのレベルを覚えるだけでも十分に英会話には使えますが、高校生レベルまでの復習をするとなおよいです。
まずは動詞の単語から覚えるようにし、半年間で3000語を覚えることを目標にしてください。
②文法
英会話の言い回しは、正確な文法とは異なる場合もあるため、文法にこだわりすぎるのはよくありませんが、これは基本的な文法の知識があってから言えることです。
穴埋めのような簡単な文法のテキストで構いませんので、英語初心者の方は、最低でも中学生レベルの文法はできるようにしていてください。
基本的な文法の知識をしっかり身につけたあとでの英会話の実践的な練習の場では、文法にこだわりすぎる必要はありません。
3.基本的な単語や文法を身につけたあとはリスニングを学習
単語や文法ができたらリスニングの学習に取り組みましょう。
リスニング力は、英会話で相手が伝えたいことを理解するうえでとても重要になります。
いくつか、効果的なリスニングの学習方法をご紹介します。
①シャドーイング
シャドーイングとは、耳に入ってきた英語をそのまま声に出して音読することです。
止まらずに音読していくことがとても重要で、はじめは聞き取れない部分やついていくことのできない部分もあるかもしれませんが、何度もシャドーイングを繰り返すようにしてください。
耳に入ってきた英語をそのまま口に出して読んだら、次はテキストの文章を見ながら音読します。
テキストの文章を見て、何と言っているのか理解したら、今度は何も見ずにシャドーイングができるようになるまで、また繰り返し声にだしてください。
知らない単語はその都度覚えるようにしましょう。
②ディクテーション
ディクテーションとは、耳に入ってきた英語をとにかく書いてみる作業です。
初めは何と言っているのかわからない部分やスペルがわからない部分もあるかと思いますが、とにかくカタカナでもいいので文字に書き起こしてみてください。
ディクテーションを数回繰り返したら、次はテキストの文章を見比べてみましょう。
書きとれなかった部分や誤っていた部分を確認して、知らない単語もその都度覚えるようにしてください。
ディクテーションを行うことで自然と英語の文章構造がわかるようになってきます。
短期間で英会話を身につけるには、英単語や文法、フレーズなどと同時にリスニングを勉強するようにしましょう。
4.リーディングを行いましょう
英語の文章を読むリーディングは、一見、英会話の上達には関係がないように感じるかと思います。
しかし、初心者にとってリーディングを行うことは英語の文章の構造を理解したり、わからない単語やフレーズを学習することのできる重要な学習方法なのです。
短い文章で構いませんので、実際に英語の文章を読んでみましょう。
英語の文章を読みながら、自分で意味の区切り目にスラッシュや修飾関係の矢印などを書き込むと文章構造を理解しやすくなるのでおすすめです。
文章全体に目を通したあとは、英文の内容を日本語で要約してみましょう。
最後に、英文の日本語訳を見ながら、自分なりに読み進めていた文章との違いを確認し、知らない単語や文章構造のわからなかったところなどの学習をすすめてください。
しばらく時間を置いたあとに、復習で同じ文章を読んで理解ができているかも必ず確認するようにしてください。
5.最後にスピーキングを行いましょう
いよいよ英語の基礎知識を身につけ、リスニングで耳を慣らし、英語の文章もスムーズに読むことができるようになったら、今度はスピーキングの練習です。
今までの
・単語や文法の暗記
・リスニングでの英語の聞き取り
・リーディングによる英語の文章理解
英語をインプットする作業でした。
英語を話すスピーキングは、アウトプットの作業となります。
英会話の交流会やオンラインでの英会話レッスンなど、スピーキングができる場はたくさんありますので、積極的にそのような場を利用して英語を話してみましょう。
このインプット、アウトプットの繰り返しにより、英会話は上達します。
インプットの作業で学習した文章やフレーズなどを実際に自分で声に出すスピーキング学習も行うようにしてください。
6.計画した学習を継続しましょう
短期間で英会話を上達させるには、自分で立てた計画を毎日継続することが大切です。
日常生活に困らない程度の英会話ができるようになるまでに、日本人ですと1000時間以上の勉強が必要だと言われています。
自分の目標が明確になったら、その目標を達成するためにどの程度の英語力が必要なのか、その英語力を身につけるのにどのくらいの時間を要するのか、を考えて学習計画を立てるようにしてください。
人一倍の努力をして、毎日英語の勉強をすれば半年で英会話が話せるようになるかもしれません。
重要なのは毎日短時間でもいいので、継続できるような無理のない計画を立てることです。
続ければ必ず結果はでるので、根気よく頑張りましょう。